ほろよい。
あれはそう、さかのぼる事二日前・・・
あの日私は、仕事の帰りにドン・キホーテに寄ったんです。
最近軽く晩酌というほどでもございませんが、夜にほろ酔いをよく飲む様になりましたので、ドンキに売ってあった、
ほろ酔い10本セット910円
がとても魅力的に感じ、「一本約100円じゃん…」と思い、そちらを購入することに決めたんです。
その形状は紙で作られた土台に10個の穴が開いていて、そこにほろ酔いが10本入っているという形でした。手持ち部分も勿論紙製です。
お会計をする際に店員さんから「このままのお渡しでもよろしいですか?」と聞かれたので流れる様に「あっはい大丈夫です」と返事を致しました。
7月1日からレジ袋が有料化するに伴い、私もそれに貢献し、かつレジ袋が無い状況に慣れようと思った結果の行動です。
ですが、この行動がまさか裏目にでるとは、あの時私は想像もしておりませんでした。
しまった。と思ったのは、ドン・キホーテを出たすぐ瞬間の事でした。
なんと、外はまるで人間に突き刺さるのではないかというほどの激しい豪雨だったのです。
私がドンキに入る前はパラパラとした、気づくか気づかないかぐらいの雨だったのに、ほんの数分の出来事でその雨はとんでもない勢いを付けていたのです。
幸い、折り畳み傘を持参していたので完全にびしょぬれになる事は防げたのですが、問題は私が今右手に持っている、ほろよい10本セット。
先ほども説明させて頂きましたが、この10本のほろ酔いを支えているのはすべて紙なのです。
しかも重さも結構ありましたので、傷がついたり、やぶれようものならすぐに最悪の事態になる事でしょう。
私はどうしようか考えました。3秒ほど。
そして脳筋の私が出した答えは
「大丈夫、イケる!イケる!」
という、某テイルズシリーズ出てくるキャラの名台詞をほうふつとさせる能天気な考えだったのです。
私は大丈夫という気持ちでセットを持ち、激しい豪雨の中堂々と横断歩道を渡りました。
するとどうでしょう。
みるみるうちに、紙がとけていくではありませんか!
横断歩道を渡り切った瞬間にその紙はついに原型を保てなくなり、まるでどこかの国の坂道からおおきな買い物袋をもった女性がひょんなことで躓き、中の果物が盛大にぶちまけられ坂から転がっていくかのごとく、私の10本のほろ酔いも同様に、はげしく、盛大にころがりまくりました。
その時の私は、激しい豪雨の中、ポケモンバトルに負けたサトシのように、頭の中が真っ白になりました。
片手で10本のほろよいを持つのはどうあがいても無理なのです。
リュックの中に入れるという方法も、実はその前に総菜屋さんでお弁当を二個買って無理やり詰めてしまっているものですからスペースが全くなく
まさに八方ふさがりだったのです。
ちりばめられたほろよいを空しく拾いながらどうしようかと考えて居たら別の信号機で足止め喰らっていたサラリーマンの方が雨なのにも関わらず拾うのを手伝って下さり。「大丈夫ですか?」と声をかけて下さいました。
私といたしましては
とてもいい年代の黒スーツを着られてる紳士なサラリーマンが傘を差しながら一生懸命両手いっぱいにほろよい、というカラフルな缶を抱きかかえているその状態がとても激しく燃え滾g
私はその親切なサラリーマンにすみません、と受け取りながらあやまり、うずくまって膝の上に乗せたほろよい達をどうしようかと悩ませていたら。
傘の死角の方からぬっと手が目の前に出てきました。
その手が握っているのはレジ袋で、私は、何が起きてるのかわからずきょとんとしていると
「あの、良かったら使ってください。」
優しい声が聞こえてきたのです。
傘の角度をかえてその声の方向へ目を向けると、若い青年がそこに立っておりました。
手には、私と同じスーパーで買ったであろう半額のお弁当を手に持っていたので、もともとはそのお弁当を入れてた袋を渡しに差し伸べてくれたのです。
「ええっいいんですか…?」
「ぼくは大丈夫ですから。」
「あっありがとうございます…ッ!」
思わぬ救世主にお礼を言うと、その青年はさっそうと雨の中弁当を抱えて走り去っていきました。
私はその青年に心の中で何度も感謝をしつつ、ビニール袋にはなんとか10本ほろよいが入った立ち上がると、心配そうに様子をみていたサラリーマンの方も安心したのかいつの間にかその場にはいなくなっていました。
私はこの凍てつくように冷たく鋭い豪雨の中
人のやさしさのぬくもりに包まれながらそのまま無事に家に帰る事ができました。
そして思いました。
あの青年とサラリーマンはのちに出会い、恋に落ち、幸せなキスをして終わるのだと。
そして二人はのちに語る事でしょう。
あの出会いはまさに、ほろよいだったのだと。
END
ウソみたいな話だと思うけど最後の4行は全部妄想です。
あの日私は、仕事の帰りにドン・キホーテに寄ったんです。
最近軽く晩酌というほどでもございませんが、夜にほろ酔いをよく飲む様になりましたので、ドンキに売ってあった、
ほろ酔い10本セット910円
がとても魅力的に感じ、「一本約100円じゃん…」と思い、そちらを購入することに決めたんです。
その形状は紙で作られた土台に10個の穴が開いていて、そこにほろ酔いが10本入っているという形でした。手持ち部分も勿論紙製です。
お会計をする際に店員さんから「このままのお渡しでもよろしいですか?」と聞かれたので流れる様に「あっはい大丈夫です」と返事を致しました。
7月1日からレジ袋が有料化するに伴い、私もそれに貢献し、かつレジ袋が無い状況に慣れようと思った結果の行動です。
ですが、この行動がまさか裏目にでるとは、あの時私は想像もしておりませんでした。
しまった。と思ったのは、ドン・キホーテを出たすぐ瞬間の事でした。
なんと、外はまるで人間に突き刺さるのではないかというほどの激しい豪雨だったのです。
私がドンキに入る前はパラパラとした、気づくか気づかないかぐらいの雨だったのに、ほんの数分の出来事でその雨はとんでもない勢いを付けていたのです。
幸い、折り畳み傘を持参していたので完全にびしょぬれになる事は防げたのですが、問題は私が今右手に持っている、ほろよい10本セット。
先ほども説明させて頂きましたが、この10本のほろ酔いを支えているのはすべて紙なのです。
しかも重さも結構ありましたので、傷がついたり、やぶれようものならすぐに最悪の事態になる事でしょう。
私はどうしようか考えました。3秒ほど。
そして脳筋の私が出した答えは
「大丈夫、イケる!イケる!」
という、某テイルズシリーズ出てくるキャラの名台詞をほうふつとさせる能天気な考えだったのです。
私は大丈夫という気持ちでセットを持ち、激しい豪雨の中堂々と横断歩道を渡りました。
するとどうでしょう。
みるみるうちに、紙がとけていくではありませんか!
横断歩道を渡り切った瞬間にその紙はついに原型を保てなくなり、まるでどこかの国の坂道からおおきな買い物袋をもった女性がひょんなことで躓き、中の果物が盛大にぶちまけられ坂から転がっていくかのごとく、私の10本のほろ酔いも同様に、はげしく、盛大にころがりまくりました。
その時の私は、激しい豪雨の中、ポケモンバトルに負けたサトシのように、頭の中が真っ白になりました。
片手で10本のほろよいを持つのはどうあがいても無理なのです。
リュックの中に入れるという方法も、実はその前に総菜屋さんでお弁当を二個買って無理やり詰めてしまっているものですからスペースが全くなく
まさに八方ふさがりだったのです。
ちりばめられたほろよいを空しく拾いながらどうしようかと考えて居たら別の信号機で足止め喰らっていたサラリーマンの方が雨なのにも関わらず拾うのを手伝って下さり。「大丈夫ですか?」と声をかけて下さいました。
私といたしましては
とてもいい年代の黒スーツを着られてる紳士なサラリーマンが傘を差しながら一生懸命両手いっぱいにほろよい、というカラフルな缶を抱きかかえているその状態がとても激しく燃え滾g
私はその親切なサラリーマンにすみません、と受け取りながらあやまり、うずくまって膝の上に乗せたほろよい達をどうしようかと悩ませていたら。
傘の死角の方からぬっと手が目の前に出てきました。
その手が握っているのはレジ袋で、私は、何が起きてるのかわからずきょとんとしていると
「あの、良かったら使ってください。」
優しい声が聞こえてきたのです。
傘の角度をかえてその声の方向へ目を向けると、若い青年がそこに立っておりました。
手には、私と同じスーパーで買ったであろう半額のお弁当を手に持っていたので、もともとはそのお弁当を入れてた袋を渡しに差し伸べてくれたのです。
「ええっいいんですか…?」
「ぼくは大丈夫ですから。」
「あっありがとうございます…ッ!」
思わぬ救世主にお礼を言うと、その青年はさっそうと雨の中弁当を抱えて走り去っていきました。
私はその青年に心の中で何度も感謝をしつつ、ビニール袋にはなんとか10本ほろよいが入った立ち上がると、心配そうに様子をみていたサラリーマンの方も安心したのかいつの間にかその場にはいなくなっていました。
私はこの凍てつくように冷たく鋭い豪雨の中
人のやさしさのぬくもりに包まれながらそのまま無事に家に帰る事ができました。
そして思いました。
あの青年とサラリーマンはのちに出会い、恋に落ち、幸せなキスをして終わるのだと。
そして二人はのちに語る事でしょう。
あの出会いはまさに、ほろよいだったのだと。
END
ウソみたいな話だと思うけど最後の4行は全部妄想です。