死神とおれ1

どうも、ウソップです。
しがない大学生です。
おれは今、高層ビルマンションの屋上の淵に立っています。

そう、おれは今から飛び降りようとしています。

なぜかって?
なんでだろうな。毎日の変わらない日々、変わらない自分に嫌気がさしたからかな。

別に世界が悪いわけではない。ここの国はとても平和だ。
別に生活が苦しい訳ではない。月に3万はしっかり貯金している程だ。
別に大学でいじめられている訳でもない。何事もなくしっかり単位も取れている。

ただ…。そう、ただ。
自分なんかこの世に要らないんじゃないか。

そう思って仕方がないんだ。

誰もおれを必要としていない。だって友達だって一人もいない。
バイト先だっておれは一人で仕事をこなしている。

いつだって一人、独り、ひとり。

周りが悪い訳じゃない。おれが悪いんだ。
おれが全ておれであるから悪いんだ。

「………。」

じりじりと、足のつま先を淵のギリギリまで移動させる。
下を覗けばとめどなく走り続ける車や、行きかう人々。
大きな街が小さく見える。

こんな小さな世界なら、少しは生きがいを見つけられただろうか。
おれにはこの世界は大きすぎた。何も見つけられなかった。
そんな自分に絶望した。

ああそうだ、絶望したんだ。だからおれは今から消えるんだ。
消えて、こんな自分とはおさらばするんだ。

「親父…お袋…ごめんなさい。」

こんなおれになってしまってごめんなさい。
でも、生んでくれてありがとうございました。

そして、さようなら。

ぎゅっと目を瞑って、おれは体重を前にかける。
足元がぐらいついて、そのままおれは落ちていく。

……
落ちていく。

…。
落ちて

…、…。
おち、落ちて…あれ…?


あれれぇ?なんか、落ちてなくない?
え、なんだこれ、まるで時間が止まっているような…
一体これはどういう――

「あのさァ?ごめんなさいで済むなら警察は要らねェんだよこのクソッ鼻。」
「うえ…ッ!?」

空中にいるはずのおれの頭上から誰かの声が聞こえてきて、おれは思わず吃驚して目を開けてしまった。

目を開けた先に見えたものは、
小さな街と、フードを被った黒づくめの男。

そして宙に浮いているおれの姿だった。

「…‼‼…!…!?…???…ッ!!!…!!?!?!?!?!?」
「おいおい!と?だけで喋るな。いや喋ってはねぇけど…まァ、とりあえず落ち着けよ。」
「おおおおおおおおお落ち着いていられるかァ!!な、なんだよコレ!おれは、たたた確かに飛び降りて…ッ!」

信じられない状況を目の当たりにして、おれは上手く思考が回らない。
一体どうなってんだよ!
てか、こいつは一体誰なんだよ!!

黒いフードをかぶった、黒づくめの男。
でも髪は対照的な綺麗な金色で、瞳は透き通ったブルー。
よくよく見ればすげェ綺麗な顔立ちをしている。
でも、眉毛はとってもグルグルしていた。

明らかに人間じゃねェと思った。

当たり前のように宙に浮いて仁王立ちしているその男は、パニックになってジタバタと暴れているおれをなだめる様に、ゆっくりと口を開いて喋りだす。

「確かにお前は飛び降りたさ。だけどそれをおれが止めたんだよ。見りゃ分かるでしょ、ウソップくん。」
「な、なんでおれの名前を…!」
「担当の魂の情報くらいちゃんと把握してるっての。」
「担当…?た、魂ィ!?…な、なに言ってンのかさっぱり分からねェ…てか、お前誰なんだよ…ッ!」

なんとなくではあるが、心の中のリトルウソップがこいつにかかわるなと、名前なんて聞くんじゃないと危険信号を全力で発信しているのに、おれの口は目の前のこいつの正体が知りたくてつい聞いてしまった。

目の前の男はその言葉を聞くと、待ってましたと言わんばかりの不気味な笑みを見せて、口を開いて、言った。

「おれ?おれは―――死神だよ。」


やはり聞かなきゃ良かったと、おれは心の中のリトルウソップに謝った後、静かに意識を手放した。



つづく。はず。
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